U-16日本代表|久保建英の凄さとは

さてさて。

ハリル監督がイラク・オーストラリア戦に向けて、A代表のメンバーを発表し、海外組優遇政策をぶちあげていた頃、インドの地では若きU16日本代表が、来年U17W杯の出場権をかけて戦っておりました。

彼らはグループリーグを大量得点&無失点の1位で突破し、W杯出場をかけた準々決勝のUAE戦では1-0の勝利。無事W杯への出場権をゲット。

準決勝ではイラクと対戦し決勝を目指しましたが、何度もあった決定機を決められず、DFがPK献上のうえ退場するなどのアクシデントも重なり、勝利をたぐりよせることは叶わず、2-4での敗退と相成りました。

そのU16日本代表のメンバーには、バルセロナ帰りで有名となった久保建英選手も選出されており、大会でも4得点を決め、エース級の活躍をみせたわけですが、「ではどこが凄いの?」という点について、あまりきちんとした解説を見聞きしたことがなかったので、簡単にまとめておこと思います。

日本のメッシではない

久保選手を評して、「日本のメッシ」と言いたがるメディアは多いけれど、身長が170cm弱である点、左利きである点などに共通点はあっても、言葉が一人歩きしていて、なんら実態を掴んでいません。

そもそもメッシは、「史上最高のサッカー選手」と評されるほど突出したプレイヤーで、個人の力でチームを勝利に導ける「キング」であり「カリスマ」です。

プロ中のプロを相手に、2人~3人をドリブルでかわすのは普通の光景で、5人抜きすら可能にしてしまう「怪物的破壊力の持ち主」といってもよいでしょう。

圧倒的なボールコントロール能力、スピード、正確かつ強烈なシュート力、チャンスを創るパス能力など、攻撃に関するほぼすべての能力を高次元で備えているのがメッシなわけです。

一方、久保選手は、そういった「怪物性」を全面に押し出すのではなく、「インテリジェンス」で勝負をするタイプといえます。

TPOをわきまえる

では、久保選手の持つ「インテリジェンス」とは何か。

それはすなわち、試合中にボールを持っているときも、ボールに関与していないときも、「どこにいるべきか」がわかっていて、「何をすべきか」を適切に選択でき、実行できる能力のことです。

つまり、TPOをわきまえたプレーができるわけです。

これって凄いことなんだけれども、日本ではなかなか評価されないし、なかなかメディアにはあがってこない情報でもあります。

サッカーは90分間の試合時間の中でボールに触れる時間が3分程度と短く、残りの87分をどう過ごすかがとても大事なスポーツです。

その87分で何を考え、どこにポジションをとるか、そして頭の中で展開を予測し、自分にボールが来た場合は何をすべきかに考えを巡らし、準備をする。

そういう目に見えない地味な作業が、いざボールを受けたときに、プレーの選択肢を増やすと同時に判断の速さを促すわけです。

久保選手はまだ15歳の中学三年生だけれども、そうした準備がすでに小学生の頃からできていて、バルセロナはその能力を評価し、契約に至ったわけです。

ドリブルの突破力やボールコントロールだけをとってみれば、久保選手よりうまい選手は、同世代にもいるのですが、試合の中で発揮されるインテリジェンスが群を抜いている。

U16代表では、年下として参加しているけれど、周囲の選手も彼の判断の速さについていけていない場面がしばしばみられました。

そういう意味で彼の特徴は「日本のメッシ」として表現されるべきではないと思います。

脱力の天才

U16代表選手には、久保選手だけでなく他にも良い選手がいて、FWの宮代選手などは16歳で身長が180cmあり、ボールコントロールもレベルが高く、なおかつパワフルなシュートを打つことができる優秀な選手です。

しかし、日本人選手の典型的な特徴も持っていて、そこからは脱却できていないように思います。

その特徴とは、シュートの段階で体が力んでしまい、ガチガチに強張ってしまうという悪癖です。

U16日本代表は、イラクに2-4で負けたわけですが、宮代選手は2-1とリードしている時間帯に、少なくとも決定的な3つのチャンスを、GKにシュートを当てる、バーにシュートを当てる、ポストにシュートを当てるというかたちでフイにしています。

いずれのシュート時にも体に力みがあり、全力を込めたインステップキックだったのが印象的でした。

3つのチャンスのうち、ひとつでもリラックスして、GKのいない空間を狙ったコントロールショットを放っていれば、追加点を奪え、勝敗も違ったものになっていた可能性が高いし、この試合のヒーローになれていたのではないかと思います。

力まないというのは、簡単なようでとても難しく、日本のトップレベルの選手ですらなかなかできる芸当ではないのだけれども、久保選手はそこが違っていて、とにかく脱力のレベルが高い。

ドリブルであれパスであれ、ゴール前でのチャンスであれ、自分の得意な体勢を作って、狙いを持ってプレーするというやり方が身についているから、体に余計な力が入らないわけです。

参考までに動画を↓

 

特徴的なのは、ボールを受けるときに敵のマークを外し、フリーの状態を作っていること。

これは敵と敵の間に位置取りをする感覚が重要です。これはまさにインテリジェンスが高いプレーヤーの特徴で、バルセロナをはじめスペインの選手はこういうプレーを得意にしています。

また、動画をみてもらえればわかる通り、まだ筋力が弱くボールを奪われることもあり、現時点では「怪物」と呼べるほどの存在感を放っているわけではありません。

ただ、インテリジェンスをベースとした脱力プレーは随所に光っており、これから筋力をつけ、体ができてくれば激しいプレーにも対応できるようになるでしょう。すでにトップレベルでやれるベースは15歳の現時点で築けているわけだから、20歳くらいまでにレベルの高い環境でプレーしつつ体づくりを行えば、凄い選手になるでしょう。

過度の期待は慎みつつ、応援していきたいなと感じさせてくれるU16代表での活躍ぶりでした。

ではでは。


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