高校サッカー選手権雑感

さてさて。

冬の風物詩といえば高校サッカー。正確に言えば「全国高校サッカー選手権大会」。

毎年、何試合かをテレビ観戦し、将来のA代表候補を品定めする。そんな楽しみを20年ほど続けていることころですが、以下に雑感を。

優勝は青森山田高校。初の青森県代表校の優勝で、それは青森山田高校としては初優勝であり、黒田監督としても初優勝。22年かけての偉業達成ということで、おめでとうございますというしかないでしょう。一方、敗れた前橋育英の山田監督は就任33年目、さらに2度目の決勝での敗退ということで、以下のような記事もみられました。

前橋育英・山田監督「日本一勝負弱いと言われる」(日刊スポーツ)

決勝に2回進出できるだけでも凄いと思いますが、強豪校の指導者ならではの苦悩があるのだと思います。

 

強豪高校サッカー部の構造

ところで、今回テレビ観戦した試合は、市立船橋×京都橘(ダイジェスト版)、準決勝、決勝くらいでしたが、試合内容というより、勝ち残ったサッカー部の仕組みの方に目がいきました。青森山田は中高一貫で中学のサッカー部は全国大会3連覇中なのだとか。そういったネームバリューで中学生の頃から越境入学する選手も多いとのこと。あえて雪国で鍛えたいという意思を持ってやってくる強者がいるという話も聞きます。昨年度のメンバーでJリーグに行った神谷選手なんかは、高校の途中でベルディユースを辞めて転入したりしてますしね。

東福岡は総勢300人を超える大所帯で、壮絶な競争力をベースに強豪校としての存在感がありました。今回は昨年大会優勝メンバーを多数含み、さらにJ1内定者3人を擁するスター軍団で優勝候補の呼び声も高かったチームです。

市立船橋はインターハイ優勝校。さらにはJ内定選手3名を擁し、こちらも優勝候補。両CB+ボランチの3名がプロ内定という守備力をベースに組織的に洗練された好チームで前評判が高かった。

選手の供給源

そうした強豪サッカー部の選手の供給源は基本的に、Jリーグの育成組織チームです。現在国内でもっとも才能があると思う・思われる選手のほとんどは、まずそこへ入ることを第一目標にします。才能があれば、10代でプロ選手となることも可能だから、本気の人は最速を狙うのが当然なのでしょう。

しかし、ジュニアユース(中学生)世代からユース(高校)世代へステップアップする段階で、上に昇格できない選手が出てきます。そういう選手たちが高校サッカーの名門校の扉をたたきます。そうした選手たちが、ユースへ昇格できなかった挫折を高校サッカーで乗り越えたい、というモチベーションをもって戦っているわけです。

また、少ない例ですが今回でいえば、京都橘高校の「岩崎悠人」選手は、JFAアカデミーに選ばれたエリート選手だったのですが、あえて高校サッカーを選んだそうです。

 

リーグ戦の整備

現在高校サッカーおよびJユースのチームは、同じフォーマットのリーグ戦に所属し年間を通して戦っています。これを階層的に示すとざっくり以下のようになります。

国内最上位 プレミアリーグ WEST/EAST(各10チーム)
高校サッカー最高峰 プリンスリーグ 全国9地域(各10チーム前後)
都道府県強豪クラス 各都道府県リーグ 最大4部リーグ程度まで
一般レベル 各都道府県地域リーグ 上記以外のチームで構成

*当然各レベル間では、昇格・降格があります。

 

このように、きっちりとレベル分けされ、年間を通してリーグ戦を戦う仕組みが整備されています。とくに、国内最上位のプレミアリーグは、WEST/EASTの2グループに全国からチームが集まっているため、リーグ戦を行うにも長距離の移動がつきものとなってきます。つまり、ただ強いだけではなく、移動も含め環境を整えることが必然的に要求される訳です。

ちなみに2016年のプレミアリーグチャンピオンは青森山田高校で、これは実質高校年代日本ナンバーワンであることを意味します。
→高校サッカー選手権はあくまで高校サッカー部のトーナメント戦という位置づけです。

インターハイ優勝の市立船橋もプレミアリーグに参加していたことを考えれば、このクラスで戦える戦力と環境(つまり財力)がないと、高校サッカーでの優勝を現実的に目指せなくなっているといえるでしょう。少なくとも、プリンスリーグに参入できるレベルでないと「全国制覇」を現実目標に設定できないといえます。
→決勝で敗れた前橋育英は「プリンスリーグ」、東福岡は「プレミアリーグ」に参入していました。

 

可視化されるランキング

というわけで、各レベルにおいてリーグ戦の結果は当然のように可視化されます。そうなるとまるで大学受験のように偏差値(ランキング)で所属チームを選ぶようになるのは必然でしょう。もちろんプロを目指すようなプレーヤーは、ランキングだけでなく、指導者やチームカラーなども考慮して自分自身を育ててくれるようなチームを選びます。

良くも悪くも洗練されてきている高校サッカー。そういう意味で、ジャイアントキリングは成立しにくくなっていえるといえるでしょう。ちなみに、選手権ベスト4で敗退した東海大仰星は、プレミアリーグ・プリンスリーグのさらに下の大阪府リーグに所属していたようですね(とはいえ1部優勝)。
→強豪校であることに変わりはないので、ジャイアントキリングとは呼べなそうです。

ではでは。

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