日本代表|W杯最終予選|オーストラリア戦評(1)

さてさて。

サッカーW杯アジア最終予選の第4戦。相手はオーストラリア。現アジアチャンピオンであり、GL最強と目される相手。

ここで勝利すれば、上位2位までに浮上でき、反対に負けてしまえば残りの試合が全て「絶対に勝たなくてはならない試合がそこにはある」状態になってしまうキーポイント。

結果は、1-1の引き分けとなりました。最強の相手にアウェーでの引き分け。勝ち点1が取れたのはそんなに悪くないでしょう。GL全体でも3位に浮上しましたし。次のサウジアラビア戦次第では、上位2位までになれる可能性もあり、全体をみれば手堅くまとめたと言っていいでしょう。

さて、選手の出来や監督の采配などについては、次回のエントリーに譲るとして、今回はもう少し視野を広くしてこの試合を分析してみたいと思います。

日本とオーストラリアの現状

日本代表は2014年のW杯本戦で惨敗しました。アジア予選から継続して、ボールを保持しつつ主導権を握る「ポゼッションサッカー」を「自分たちのサッカー」として掲げ、強豪相手にもマイペースで押し通すやり方を選びました。その結果の惨敗であったわけですが、日本サッカー協会は「ポゼッションだけでは勝てないので、縦に速いカウンターを上乗せしたい」との要望から、前アギーレ監督→現ハリルホジッチ監督を2018年に向けた指揮官に据えました。

一方、オーストラリアはアジアサッカー連盟に加入してから、アジア予選では屈強な体を武器にロングボールからのゴリ押しサッカーでW杯に連続出場していますが、W杯本戦ではその1つの武器だけでは勝てず、GLを突破できていません。そうした流れもあり、現在では後方からビルドアップする「ポゼッションサッカー」を上乗せしようと、戦い方を変えている最中です。

つまり両国とも、複数の戦い方を身に着けるべく、変化の途中にあるといえるでしょう。ざっくりと以下のように整理できると思います。

  • 日本:ポゼッション ⇒ カウンターを上乗せ
  • オーストラリア:放り込み ⇒ ポゼッションを上乗せ

妥当な引き分け

さて、サッカーとは相対的なもので、相手より強ければ自分たちのやりたいことができるし、その逆もまた真です。さらに、弱者が強者に一発くらわすためのやり方もあります。

そういう前提で、この試合をみると、以下のように分析できるでしょう。

  • 日本:弱者の戦術である「引いてカウンター」は機能したが、優位に進められそうな時間帯でポゼッションに切り替えることはできなかった。
  • オーストリア:日本が引いてきたので、ポゼッションはできるがパスで崩すことはできなかった。後半はもともと武器である放り込みを試みたが、それに徹することができなかった。

つまり、複数の戦い方をうまく使い分けることがまだできていない者同士の戦いで、そういう意味で引き分けは妥当だったかなと思います。

仮にオーストラリアが90分間放り込みを続けていたら、おそらく日本は2失点以上していたことでしょう。ただ、オーストラリアもそれでは先がないことはわかっているわけです。これは日本も同様ですね。

日本代表は進化できるか

オーストラリアが今後、戦術の融合を果たせるかどうかはわかりませんが、ここでは日本代表の今後について考えていきましょう。

問題は、すでに挙げたように「ポゼッション」と「カウンター」の融合です。これは日本サッカー協会の要請でもあります。

では監督であるハリルホジッチ監督はどうか。この試合の結果についてかなり満足している様子をインタビューでみるにつけ、ポゼッションについてはさほど興味がないように思います。つまり、この試合での戦い方がハリルのベースで、ここから練度を上げていきたいという考えが推測できます。

彼の求めるものは、

  • 人数をかけない速攻
  • 1対1で負けない強さ(デュエル)
  • 90分間を走りきる運動量
  • リスクを回避する割り切り

といったところでしょうか。まさに技術のない弱者が強者に挑むための伝統的なスタイルです。

ここまで分析して、はたと思い出すのは2010年の岡田監督です。決勝トーナメント進出を果たしたこの南アフリカ大会で、すでにハリルのサッカーは行われていました。

本田を1トップに据えて、サイドハーフが攻守に走りまくり、MFとDFが壁になって相手を跳ね返す。当時のDFの要だった闘莉王も「俺たちはヘタクソなんだ」と言っていましたね。つまり「上手いと勘違いしてちまちまとパスをつないでんじゃねえぞ!」ということです。ハリルも言っていますね。「我々はアジアNo1はでない」と。

ふむ。であれば、ハリルが監督である必要はとくにはないですね。だって、2010年から6年が経ち、今やっているのは6年前のサッカーそのものなので。

つまり、導き出せるのは「日本代表は進化できない」という残念な結論です。

問題は監督だけに非ず

今から思えば、2010年から2014年に渡って監督を務めていたザッケローニには慧眼があったと思います。彼は日本選手の特徴を分かっていたからこそ、フィジカル勝負にならないようポゼッションサッカーをベースに置いた。基本フォーメーションは4-2-3-1でそれは現在にも踏襲されています。

おそらく彼はその先を見据えていて、格下には基本フォーメーションでいけるけれど、格上と当たった場合も想定していたと考えられます。というのもある程度ベースが固まった段階で、3-4-3のフォーメーションにトライしていたからです。

3-4-3は中盤が横一列になるので、中盤に限っていえばパスをつなぐ角度(トライアングル)が作りにくく、ポゼッション向きではありません。しかし、中盤でボールをかっさらうことができれば、素早く前方サイドへボールを展開し、カウンターがはまりやすい。結局このやり方は、選手たちが「俺たちのサッカー」を追求したことで頓挫しましたが。

そういう意味で、ザッケローニ時代は日本代表が進化するための環境が整っていたと考えられます。ただ、選手がついていけなかった。固定観念を崩せなかった。選手たちの考えが進化できなかった。そういうことだと思います。せっかくのチャンスを生かせなかったことが返す返すも残念です。

ではでは。

日本代表|W杯最終予選|オーストラリア戦評(2)に続く


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