シュート技術|GKにぶつけない方法

さてさて。

最近DAZNでJリーグを視聴する機会が増えたところ。Jリーグは「決定力」がやはり世界トップのリーグには劣るのかもなあというシーンが散見されます。

ところで決定力がないと指摘する場合、それは大抵「シュート(技術)が下手」とか「嗅覚がない」とかなどの指摘が多いように思います。とはいえ嗅覚なんてものは、あると言えばあるのかもしれませんが、曖昧すぎる概念です。そこで今回はより具体的だと思われる「シュート(技術)」について考えてみようというエントリ。

シュート技術とは

まず、シュート技術とは何かと問われた場合、キックについて思い浮かべることが多いのではないでしょうか。キックの強さだったり、コントロールだったり。でも不思議なことに、パスの精度が高い中盤の選手がやたらとGKにシュートをぶつけたりする場面を見かけます。

一方で、キック技術が必ずしも優れているとは言えないFWが高い決定力を示すことがあります。もちろんFWはシュートを打つ回数が多いため、必然的に得点をする機会も増えるという単純な統計的理由にもよるとは思いますが。

しかしながら、このことはキック技術が必ずしも得点に直結するわけではないという現実を炙り出します。そこでいくつかの仮説を立ててみて、それを手掛かりに「シュート(技術)」の仕組みを考えていきたいと思います。まずは以下に仮説を。

仮説1:パスが上手いからといってシュートが上手いわけではない。
仮説2:シュートをゴールならしめるのはキック技術ではなくその前段階の何かである。
*パスもシュートもキックで行うという仮定で話をすすめます。

パスの目的とシュートの目的

仮説1について。この仮説はざっくりいえば、パスとシュートは違う要素の技術であるということを意味します。ではその違いは何か?

・パスの目的:味方にボールを届ける(タイミングを合わせる)
・シュートの目的:GKのいない空間を通す(タイミングを外す)

 

目的別に整理してみました。ボールの届け先の違いで分けられそうですね。パスは最終的には味方選手(のいるべき場所)にボールを届けますが、シュートはゴール枠に縁どられた遮るもののない空間へめがけて放たれます。パスは受け取る者を対象とし、シュートは受け取られないことを目標に空間を狙います。

この違いは、ボールホルダーの認知の仕方に影響を与えるでしょう。それはたとえば次のようなものです。下記の図を見てください。ゴール中央にGKが構えています。この場合シュートを狙うFWは「まずGKの位置を確認し、それから空いている空間を確かめ、そこへ狙いを定めます。そしてシュート。」

認知-意思決定プロセスについて

ポイントは、「狙うべき場所をGKを基準にして決定」している認知-意思決定プロセスです。一文にすると「目の前にいるGKにぶつけないように、区切られたスペースのうちGKの届かない隙間を狙って蹴る」といったところですが、けっこう複雑なプロセスです。そしてこれはじつに「言うは易し、行うは難し」な作業なのです。

なぜならば「人の目は存在するものをターゲットにしやすい」という本能が備わっているからです。シュートを考えた場合、本能はGKをターゲットにしてしまいやすく、左右の空間をターゲットにするのは本能に反する認知です。空いているとわかっていてもGKにぶつけてしまう、それは本能だから難しいのです。

ゴールポストやバーにぶつけてしまいやすいのも同様の理由からだと考えられます。また、空間のどこを狙うのかという作業も必要になります。自分なりの方法で空間にマーキング&ターゲットする脳内操作が必要になるでしょう。ぼんやり「あの辺が空いているなあ」と思うのではなく、空いている空間のどこを狙うのかを明確にしなくてはいけません。

マーキング&ターゲットについて

下記の図は向かって左サイドを狙う場合のマーキング&ターゲットイメージの例です。カラーコーンの隙間を狙うというイメージです。バーから吊り下げた的を狙うというイメージでも構いません。狙うべき空間に狙うべき的をイメージする力。それがシュートを成功させる鍵なのではないでしょうか。その際のポイントは認知対象を「具体的にマーキングした空間」そのものすることです。これが仮説2への回答となります。

もうひとつ付け加えるならば、GKを見ない(感じない)ようにする認知も必要でしょう。本能は眼前の存在するものを捉えようとしますから、敢えてGKを背景としてとらえ、それ以外の空間を眼前に存在するものとして捉えるイメージ力が求められると思われます。たとえば下記の図ようにイメージできれば視線はGKではなく空間に向けられやすいと思います。

ここまで考えてきたように、パスとシュートは異なる要素(認知プロセス)からなる技術と言えるでしょう。しかしながら、シュート時に適切に空間マーキングができ、そこを狙えるような認知プロセスが成立すれば、パスもシュートもあまり違いはありません。あとは技術問題です。かつてジーコは「シュートはゴールへのパスだ」と言いました。仮にここで述べた認知プロセスがジーコの発言に内包されているとするならば、おそろしく深い至言です。

結論

シュート技術をうんぬんする前に、以下の認知プロセスを確立させよう。
①GKの場所を確認 → ②GKの届かない空間の把握 → ③狙うべき空間に的を設定する
*③の段階では認知対象は空間に設定した的であり、GKの存在を意識しないようにするかあるいは背景と捉えるようイメージすべきだと考えられます。

 

ではでは。

 

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